* 「これでいいかな・・・。よし」 ここはアレクサンドリア城。現在の女王はガーネットであるが、そのガーネットがなぜか私服に着替 えていて、終わったところ。 実はガーネットは、ルークスタウンで行われる劇団・タンタラスの公演を見に行くため、支度をして いた。公演を見に行くことは女将軍のベアトリクスだけに話してある。 このことをスタイナーに話したら確実に引きとめられていたから、ベアトリクスだけに話したのは正 解だったとしぶしぶ今も思っている。 ガーネットはポーションなどが入ったカバンを手に取り、自分の部屋を出て階段を下りていったが、 不運なことに『プルート隊』隊長のスタイナーと出くわしてしまった。 「おや、女王様!どこかへお出かけで・・・?」 「あ、ちょっとね」ガーネットは急いでカバンを隠した。 「ややっ?今後ろに隠されたものは?」 「な、なんでもないわ」 「そうですか。失礼しました。では!」 スタイナーはそう言ってから走って行った。どうやら見回りをしているらしい。 エレベータで下りたりしていると、すぐに港には着いた。船に乗る時に使う名前は「ダガー」である。 1年前の旅の時に自分で決めた偽名だ。 ダガーは係員にチケットを見せて、船に乗り込んだ。まあ係員も、まさか一般市民が乗る船に国の女 王が乗るとは思わないだろう。 「ふう・・・」 とりあえずここまでくれば、兵などに見つかる心配はない。スタイナーも見回りをしていたようだし、 大丈夫そうだと思った。 ここからリンドブルムまではそんなにはかからない。のんびりしていよう。 * 魔法弾が向かってくる、それをリンクは剣で斬り、跳ね返した。クジャは返ってきた魔法弾を弾き飛 ばして、その魔法弾を壁にあてた。壁が少し崩れた。 「フフフ・・・。なかなかやるねえ」 クジャが不敵な笑みを浮かべてきた。少しリンクはカチンとくる。 「こっちは二人だ!おまえに勝ち目はない!」 「それはどうかな」 その直後、クジャはシドの後ろに高速移動して、人質をとるかのように彼の首にナイフを突きつけた。 「あまりこういうことはしたくないんだけどね・・・。さあ、飛空挺関連の物をヒルダガルデ号から持 ってくるんだ」 「く・・・卑怯だぞ!」 「君はまだ子供だからわからないかもしれないが、こういう手は大人はよく使うものなんだよ。君も覚 えておくといい。・・・おっと、さっき言ったことと少し矛盾してしまったかな?」 クジャは平然とした口調で話し、未だナイフを突き付けている。 「リンクとやら・・・わしのことはいい。飛空挺技術を盗まれては終わりじゃ・・・行くでない・・・」 シドが体力の限界だったのか、もう話せないような感じになってしまった。かなり疲労がたまってい たようだった。と、なんとクジャはナイフで、少しシドの腕を切りつけてしまった。シドは少しうめき 声を出して、その場に倒れこんだ。 「ふっ。愚か者め。生かしてあげようと思ったのにねえ。こんな頑固だからだ・・・」 そこまでクジャがしゃべった後、クジャの目が凍りついた。 クジャの背後には、ジタンがいた。彼は少し血のついたダガーを手にして、少し震えている。 「調子に乗るな・・・クジャ・・・」 「くそっ・・・まさか・・・君は金縛りで動けないようにしておいたはず・・・」 クジャが倒れこむ。背中には傷痕があった。 「お前がリンクに気を取られている間に解けたさ・・・。今回は・・・お前の負けだ」 そうか、だからジタンは動けなかったのかとリンクは納得した。しかしクジャはなぜ、リンクも金縛 り状態にしかなったのだろうか。だがそんなことを考えているヒマはない。 「・・・・・・」 少しジタンは笑ってから口を開いた。 「ざまあ・・・みろ・・・」 ジタンは気を失ってしまった。どうやら、金縛りにあっていると同時に体力も削られていたようだ。 「こんな状態で戦っても、1分ともたない・・・だろう。今日のところは・・・」 そうクジャは言い残して、わずかな風の音とともに消え去った。瞬間移動のようだった。 数秒間、その場の空気も凍りついたようになった。誰しも動くことのない、なにも動いていない空間 だった。微妙な空気だ。刻々と時間は過ぎる。数分後、ジタンが目を覚ました。リンクはすぐに駆け寄 った。 「ジタン!ジタン!大丈夫!?」 「そう大声をだすなよ・・・」少しジタンはまた笑って見せた。 「よく力を振り絞ってあんなところまで・・・背後まで回れたね」 「リンクとあいつが話している途中で、突然、体が動くようになったんだ。だから背後に」 ジタンは大丈夫そうだと思ったリンクは、シドに駆け寄った。 「シドさん、大丈夫ですか?」 「なんとかな・・・切り傷もエスト・ガザの診療室で診てもらえばいい。とりあえずここから脱出じゃ な」 リンクは頷き、ジタンは立てるようなので、シドを連れて脱出した。 エスト・ガザの診療室。 「しかし、なぜクジャは復活したんだろうか・・・」 「さあ、わしにもわからん。ただ、『あの人』というような言葉を言っていた。あれは何なのか・・・」 「それが気になるところだよね」 リンクは出されたお茶を少しすすった。和菓子にも手をつけた。中にはあんが入っていて、外も甘い 皮で包まれている菓子だ。リンクはこの和菓子を気に入ったのか、お茶を頻繁にすすりながら飲んでい た。さっきこぼしてしまって、ジタンに少し注意された。 「まあとりあえず目的は達せれたな。リンク」 「うん、そうだね」 シドは首をかしげた。 「目的というと?」 「実は、ヒルダさんに依頼されたんだ。おっさんが戻ってこないから見にいってほしいって」 「で、あの状況で遭遇してしまった、というわけです」 「ならば、早く休んで、帰った方がいいな」 と、シドは言いつつも久し振りの再会だったからか、ジタン達と会話した。 * 広大なハイラル平原。 その一角には城下町があり、その奥にはハイラル城があった。 「インパ・・・ちょっと来てもらっていい?」 ハイラル国の姫、ゼルダは庭で花の様子を見ていた。冬なので結構寒いが、しっかりと花は育ってい る。 「はい、なんでしょう姫様」そう言ったのはゼルダの乳母、インパだ。 「変な胸騒ぎがするのです・・・。何かまた起こる気がする・・・」 「といいますと?」 「またあのガノンドロフの時のように、世界が闇におおわれる気がするのです。インパ、リンクを探し に行っていい?」 ゼルダはいつも通りの口調だが、その言葉には決意が込められていた。ゼルダからの真剣な眼差しは、 もうだれにも止めることはできないという一種のサインである。 インパは承諾した。ゼルダは支度をした。 「しかし姫様、探すあてはあるのですか?」 「・・・いいえ、ないわ。でも、とりあえず、リンクの育った森へ行ってみます。『コキリの森』へ」 「ですが、あの森は禁断の森。用意もなしに入れば・・・」 「それに関しては恐らく大丈夫です。リンクだって入れたもの」 ゼルダはハイラル平原に出た。城の外に出たのは久し振りである。今は冬なので、たまにふく風がか なり冷たいので、寒い。 さすがに城で着ている服装ではまずいので、世間だと普段着と呼ばれそうな感じに着替えてきたつも りだが、大丈夫だろうかとゼルダは少し心配していた。平原一人歩き続けると、やっと森についた。森 へつながる橋を渡ると、そこには一面緑の世界が広がっていた。 しかし森に入ると、なぜか頭痛がしてきた。かなり激しい。胸の鼓動が速くなり、全身が熱い。わけ もわからず、ゼルダは座り込む。 「おっおい、どうした!」 「あなた、どこから来たの!?」 コキリの森のコキリ族の少年少女達が駆け寄ってきた。コキリ族とは、普通の人間だが年をとっても ずっと子供のままの種族である。 「わ・・・わたし・・・は・・・。」 ゼルダは倒れ込んだ。一人のコキリ族の少年が、走って緑の髪の少女を呼んできた。 「今すぐ、近くの家へ運んで!早く!」 * 黒い船体が太陽光を跳ね返す。ヒルダガルデ5号は、リンドブルムに向かっていた。 「・・・なるほどな。グルグ火山に行ったのはそんな用だったのか」 「まあ、そういうことじゃ。・・・どうじゃリンク、エーコと友達になってみんか?」 甲板から空を眺めていたリンクは、気付かない。疲れている様子だった。 「・・・リンク?」 様子が少し変わったと察したジタンは、リンクのいるところへ向かった。リンクはボーっと空を眺め ていて、時折下を見て唸っている。 「おいどうしたんだよリンク。元気ないじゃないか」 「・・・ん?ああ、ジタンかあ」 「なんだ、大したこと無さそうだな」 「え・・・?何が?」 まったく、質問したのはこっちなのに。と、ジタンは力が抜けた。 「何か悩んでるんだろ」 「ああ、あのクジャのことだよ。ジタンに背中を切りつけられたくらいで何で逃げたんだろう・・・っ て」 ジタンは頭の上に疑問符を浮かべたようになやんだ。 「う〜ん。調子悪かったんじゃないのかな」 「まじめに考えてよ」 「あのなあ・・・。一応俺は年上だけどそんなに頭がいいわけでもない」 「じゃあ、100+100は!?」 「は?200に決まってるだろ」 そのあとには二人ともため息をついてしまった。 「・・・そうだ。わかった」 「え!?なになにジタン」 「あいつ・・・復活したけど魔力は完全に戻っていないんだ。だから回復魔法が唱えれなかった。魔力 が戻ってたんなら、リンクの剣は魔法弾を跳ね返したときの衝撃でとっくに折れてるはずだ」 「ってことは・・・魔力が戻らないうちに倒した方がいいんじゃないの?」 「かもな・・・。だが今もグングン力が戻っているはずだ。恐らく俺達だけでは勝てない」 ヒルダガルデ5号はリンドブルムに到着した。城内のドックに入り、整備士たちがどんどん飛空挺ヒ ルダガルデに入っていく。 シドはジタンとリンクを大公の間へ案内した。 「あ・・・あなた!」 「おおヒルダ・・・。心配かけてすまなかったのう」 「無事でよかった・・・。連絡は受けていましたがやっぱりこうして会うまでは安心できなかったわ」 「二人とも、改めて礼を言おう。ジタン、リンク、2人が来なかったら今頃リンドブルムはどうなって いたかと思うと怖いわい。本当にありがとうな」 と、シドがジタン達にお礼を言うと、誰か入ってきた。紫色の髪の色をした少女だった。頭には角が ある。さっそうと駈けてきた。 「おとうさん!お帰り!どこいってたの?」 「おお。ちょっとな。仕事じゃ、仕事」 シドがその少女の髪をなでると、少女が振り向いた。 「ジタンじゃない!久し振り!」 「ああ、やっぱりエーコか。久しぶりだな。ん?1年ぶりくらいか。少し背が伸びたじゃないか」 「そお?ありがと」 「あ・・・あの、君は?」 リンクが恐る恐る話しかけてみる。何せ頭に角がある人間は見たことがない。 「え?あたしはエーコ。ああ、このツノは気にしないで。生まれつきあるものだから」 「あー、そうなんだ」 「何よその微妙な反応?それに、あたしが名乗ったんだから名乗りなさいよっ」 二人の様子を見て、ヒルダが止めた 「まあまあエーコ落ち着いて。名前を訊いただけじゃないの」 「もう」 エーコは少し怒っている。なぜ怒っているのかリンクにはわからなかった。ただ単に名前を訊いただ けなのに。なんでこうなったんだっけ。 「僕はリンク。年はまだ10才。エーコは何歳?」 「レディに年を訊くの?まったく失礼ねっ。あたしは7才よ」 まだ全然若いじゃんとリンクは突っ込みたかったが、さっきのやりとりがまだイライラの原因になっ てるのかと思って、やめておいた。 「・・・んでシド、俺達、1人の勇者を探してるんだけどその勇者がルークスタウンってとこにいるら しいんだ。行く方法を教えてほしんだけど・・・」 「勇者だと?なぜそんなことを・・・」 ジタンは、今世界におこりつつあることをすべてシドに話した。 ←第一章 予感−3 第二章 襲撃−1→