ブウウウウウウウン・・・・・・・・ とんがった髪型をした、いわゆる『チョコボ頭』である金髪の男はバイクを走らせ、後ろに荷物を乗 せていた。そのバイクについている、荷物をしまう箱には「RooksDelivery」と書かれていた。 ピンポーン。 いつものようにお得意さんのインターホンを押してみる。しかし返事がない、と思ったらエプロン姿 でいかにも夕飯を作ってましたという感じの女性が出てきた。 「あの、ルークス紅茶店さんからのお届け物です」 女性は、ああ、と思いだしたように反応をした後、 「クラウドさん、いつもありがとう」 「いえいえ、ではまた」 クラウドは荷物を届けた後、すぐにバイクの停めてある場所へ向かい、ハンドルを握った。 ここ最近、目立った事件がない。まあそれは良いことなのだが、あの戦ってばかりいた時期が少し懐 かしかった。 幼なじみのティファ、反神羅(しんら)グループ「アバランチ」のリーダーのバレット、飛空挺ハイウ インドの所持者のシド、神羅ビルで出会ったレッド]V、忍者のユフィ、本体は神羅ビルにあったケッ ト・シー、元タークスのメンバーのヴィンセント、古代種の生き残りであったエアリス。 究極の破壊魔法『メテオ』を止め、世界は平和になった。あれは本当に、みんなの力、星の力があっ たからこそ、メテオでの星の破壊はまぬがれたのだ。 みんなはどうしているのだろう。ティファは新しく店を開いたらしいが、他のみんながどこへ、どう なったのかはわからない。そんなことを考えながら走っていると、あっという間に店に戻った。 「店長、届け終わりました」 クラウドは、明日の届け先を確認しようとしているであろう店長に話しかけた。この会社の規模は本 当に小さく、店はここのみ。なので、配達する荷物もあまりないのである。 「おう、御苦労さん。まあもうそろそろ夕方だし、荷物もないから帰っていいぞ」 「わかりました。お疲れ様です」 あまり敬語を使うのは慣れていない。というかあまり使ったことはないのだ。店長に軽く頭を下げて 挨拶したあと、店を出て、歩いて家に戻った。 * エアキャプは停止し、ついに洞窟の前までやってきた。 ジタンはエアキャプを下りた後、背伸びをして、首を少し動かした。 「ふーう。やっと着いたかい」 「帰りは夫の飛空挺で帰れると思いますので。ではよろしくお願いします」 ヒルダは頭を下げた後、エアキャプに戻った。間もなく発進して、スピードを上げつつ去って行った。 「さーて、行くかリンク」 ジタンはじーっと地図を見ているリンクに話しかけた。 「・・・ああ、うん。行こう」 ヒルダの言ったとおり、洞窟内は明るかった。電灯が奥までずらっと並んでおり、切れる気配は無い。 ジタンは少しうんざりしてしまったが、まあ頑張って歩くことにした。 「見たところ、一本道みたいだ」 リンクは地図と、洞窟の道を見ながら言った。 「ああ。最近開いたばっからしいからな。外側の大陸にもつなげるつもりなんだろうか・・・?」 「え?外側の大陸って?」 「この地方には4つの大陸がある。まあ今、霧は無いが、霧の大陸、俺達が向かう閉ざされた大陸、忘れ 去られた大陸、外側の大陸というのがあるんだ」 「へー」 「なんだ、質問したわりには興味なさそうだな」 「別にそういうわけじゃないけど」 そのあと、ひらすら歩いた。出口が見えないし、もう入口も見えなくなってしまった。よくこんな長い 洞窟を地下に掘ったもんだと、リンクは感心した。 「どれくらいの期間掘ってたんだろうね」 「さあ。ざっと10年くらいじゃないか」 もうジタンもやっぱり疲れてきているようだ。無理もない。もう三時間近く歩いている。そろそろ出口 が来ないものかとリンクが思っていると、ついに白い明かりが射してきた。 「あ・・・やった!ジタン!出口!」 「え?・・・おっ!やったぜ!」 二人は出口が見えると、一気に疲れが吹っ飛んだように走りだした。 洞窟は、閉ざされた大陸唯一の街、エスト・ガザのすぐ隣に出口があった。街へ向かって歩くと、街の 他に巨大な黒い物があるのに気づく。 「これ・・・ヒルダガルデ5号だ」 リンクは首をかしげた。 「ヒルダガルデってあのきれいな王妃さんの名前だよね」 「ああ、シドのおっさんは飛空挺に名前を付けている。確かカラーは・・・」 ジタンは、ブランクとの会話を思い出していた。 『ヒルダガルデ5号機、か。今度の船体のカラーは3号機のように黒らしいよ』 「そうだ、間違いない。これはシドのおっさんのヒルダガルデ5号だ」 「ならここにいるのは確実なんだね」 ジタンは首を縦に振った。よし、と言ってから二人で閉ざされた大陸唯一の建物、聖地エスト・ガザへ 入って行った。 中は相変わらず、静まり返っていた。ちょっとにぎわっているのは、入口入って右側の店があるところ だけだ。ここではポーションなどの回復薬、武器などが販売されている。 「ああリンク、武器換えたらどうだ?短い剣じゃなにかと不都合だろう」 「ん、いいよ。僕はこのままでいい。この剣はずっと使ってきて、思い出もあるし」 「そうか」確かにリンクの剣はジタンのダガーと長さが少し違うだけで、ほぼ同じだ。だがリンクは、ずっと手に して戦ってきた『コキリの剣』だけは手放すことはできなかった。この剣は森の宝。勝手に借りてしまっ た、といっても過言ではなく、というか勝手に借りてしまった。だが、これが無ければ世界は救えなかっ たはずだし、もうどれくらいかわからないくらい、長い間使っている剣だった。 いろいろ聞き込みをしているうちに、いろいろなことがわかった。シドは一週間前に火山に入り、五日 ほど調査したあと帰ったそうだが、帰るふりをしてもう一度、『グルグ火山』へ入って行ったのを見てい た人がいて、それ以来帰ってこないらしい。 なぜ、人の目を避けて火山に入らねばならなかったのか、さらになぜもう一度火山へ入ったのかは、も ちろん見当などつかない。ヒルダから何の調査に行ったのかも聞かされてないのだ。 五日間何かを調査したあと、人目を避けて火山へ入り、二日経つ。ということは、まだ生きている可能 性はあるだろうと、二人は思った。 とりあえず火山に入ろうと、二人は封印が解かれたままの入口へ向かった。 「へ・・・へ・・・へっくしょい!」 「リンク、大丈夫か?」 「う・・・うん・・・」リンクは鼻をすすりながら言った。 「半そで・・・半スカート?だからなあ。まあ、火山の中に入ったら多分あったかいから、それまで我慢 してろよ」 などと言ったジタンだったが、自分も寒い。寒くないわけがない。自分も半そでである。 * もう夕方だ。そろそろ時刻は午後4時をまわる。 仕事が終わったクラウドは、受け取り忘れた給料を取りに帰った後、家でゴロゴロしていた。まあごろ ごろというか、寝っ転がりながら静かに本を読んでいるのだが。 「クーラウド!」 その声を聞いてクラウドは、がばっと起きた。聞き覚えのある声だ。急いでクラウドは玄関へ向かい、 ドアを開けた。 「ティファじゃないか。どうしたんだ」 ドアの前に立っていた人物は、なんと幼なじみのティファだった。 「これ、このチケット」 そう言うと、ティファは一枚のチケットを差し出した。劇団公演のチケットのようだ。 「俺はいいよ」 「そう言わずに見に行こうよ。バレットとレッド]Vも来てくれるみたいだし」 別にメンバーで行くか行かないか変える気は無いのだが、とクラウドは思ったが仕方なくOKすることに した。 よく考えれば、最近遠出をしていない。気分転換にでもなればいいと「やっぱり行くよ」と返事をした。 「わかった!じゃあね、クラウド」 チケットの日時を見ると、場所はここ、ルークスタウンらしい。劇団の名前は「タンタラス」という。 クラウドは部屋に戻ると、チケットを無くさないようにと大事に引き出しにしまった。あとついでに、 会社に休みの連絡を入れておかなければ、と思い、携帯電話を手にした。理由を話し、最近休みをとって いなかったおかげか店長は「いいよ」と快諾してくれた。 携帯電話の画面を見ると、電池がもう無い。メーターがもう3段階中1段階になっていたと言えばわか りやすいだろうか。すぐさま引出しから充電器を取り出し、コンセントにさして携帯電話にも充電器をさ した。 その時、不意に何かに手をぶつけてしまった。カーンという音とともにその何かは落ちた。 『バスターソード』である。 ベッドの後ろの壁にかけていた剣が落ちてしまい、しょうがなくクラウドはベッドから降りて剣をもと の位置に直した。 この剣は親友の形見であり、手放すことなど決してできない、それくらい大切な剣だった。 ふとクラウドは久しぶりに持ってみようか、と思って剣を手にした。 「こんな構え方だったっけ」 そう呟いて、クラウドは久しぶりに剣を振り続けた。 * 火山を探索し続けて、もう30分は経つ。どこにシドがいるのかはわからない。 「ねえジタン。本当にここにいるの?」 「ああ、街の人から聞いた情報だとここに違いないだろう。しかし、ホントにどこにいるのか・・・」 と、ジタンは近くにあったレバーを動かした。何とその後、ガラガラガラガラと大きな音をたて、ワイ ヤーのようなものが下に落ちて行った。 「わわっ!何!?」リンクが驚きながら下を見る。 「そうか・・・!このレバー前来た時も動かしたな」 「降りてみる?」 「ああ。降りてみるか」 リンクとジタンは慎重に縄をつかみながらススーッと降りて行った。 降りた後、リンクは上を見て呆気にとられた。上っていく時が大変そうである。ざっと40mくらいは あるくらいの長さだった。 「さあ、行こうぜ」 ジタンとリンクは歩きだした。その数秒後、シドを見つけた。 シド大公は縄で縛られ、口も塞がれていた。ジタンが急いで口にはめられていた布を外し、シドがしゃ べれるようにした。 「ジタン、なぜここにおるのじゃ」 「理由は後だ。それよりも訊きたいのはこっちだよ。何で縛られてるんだ」 「クジャじゃ。クジャが蘇ったのじゃ・・・!」 「はあ?あいつはもう・・・」 と、ジタンがそこまで言葉を発したあと、空気が凍った。クジャの登場である。「おやジタン、久しぶりだねえ」 「クジャ・・・なぜ・・・」 「フフフ・・・。話す必要はないさ。しかしキミ達が来たのは予想外だったね。なぜ大公サマをこんなと ころに閉じ込めているのか、訊きたいんだろう?」 まあまさにその通りだが、ジタンはまだ驚き止まっていた。なぜここにクジャがいるのかがわからなく て、混乱しているのだ。 「『飛空挺技術』さ。それを手に入れるために一緒に来てもらったんだけど、なにしろガンコでねえ・・ ・。キミ達からもしゃべるように言ってくれないかな?」 そうして、クジャはジタンたちに近づいた。リンクを見ると、少し笑って再び歩き始めた。その時、や っとジタンが目を覚ましたというか、混乱を収めれたようで、リンクに耳打ちをした。 「どうする、リンク」 リンクは話しかけられて、はっとした。どうやらリンクもこの状況にやはり驚いていたようである。 「え?どうするって?」 「あいつは強い。スキを見つけておっさんを助けたいところだが、相当な魔力の持ち主だ。今の戦闘能力 が衰えた俺じゃあ、逃げれる気がしない」 ジタンが言う戦闘能力が衰えたというのは、どうやらあのドラゴンとの戦いの時に感じたものらしい。 あの野生モンスターのやられっぷりに、少し自信をなくしたようだった。 「がんばろうよ。戦わなきゃ、シドさんを助けられないんだ」 「・・・・・・わかった」 ジタンがリンクから離れると、クジャが少し反応した。 「・・・おや、作戦は決まったのかい?」 「お前は・・・生きるという意味がわかったんじゃなかったのか?イーファの樹で口にしたあの言葉は、 ウソだったのか!?」 「・・・何を言い出す?ボクはもう一度、『あの人』と共に世界を手に入れるのみなんだよ。」 「『あの人』・・・?」 「それに、生きるという意味がわかった、なんていう言葉は一度も発していない」 「・・・・・・?」 ジタンは戸惑った。あの巨大な敵との戦闘後、クジャを助けにいったのは自分。その時話していた時に クジャが言ったものだったはず。 『あの人』とは何なのか。あのクジャがイーファの樹で死んでしまう前の記憶を消し去ったのか。それ とも死ぬ直前に彼に芽生えたというか、そういう『良心』を完全に消し去って蘇らせたものなのか・・・ ・・・? だが迷っている暇はない。状況的には完全にクジャは敵だ。戦うほかは無かった。すでにリンクは剣と 盾を構えている。 「じゃあ、行くよ」 そう言って、クジャは魔法弾を繰り出してきた。